萌駅着、印象

自分が小学生の頃『にんじん』(ジュール・ルナール)を読んでいて、新しくやとわれた少女メイドが、食事の終わりがけ気を利かせたつもりで1斤ものパンを取ってくるものの、誰にも取り合われず途方に暮れるっつーシーンでグッときたのは、まだはっきりと憶えている。読んだのがその前だったかあとだったかは記憶にないが、『クオレ』(エドモンド・デ・アミーチス)にもグッとくるシーンがあったし、『小公女』(フランシス・ホジソン・バーネット)に至ってはもう全編グッときっぱなし。それが「萌え」とのファースト・コンタクトかもしれない。どれにせよ子どもが激しく折檻される描写が多い小説ばかりで、当時の自分とシンクロ率が高かったというのもある。とくに『路傍の石』(山本有三)は涙なくして読めなかった。そんな中、『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ)にもグッときてしまったわたしは、数年後お耽美(と書いてやおいと読む)にもハマることとなる。なんだ、自分でフラグ立ててんじゃん。