平安あれ

映画音楽作曲家ジェリー・ゴールドスミス死去
http://www.reuters.co.jp/news_article.jhtml?type=entertainmentnews&StoryID=5753878

10年前、友人のライブを観に、なんばベアーズへ行った。ライブがはねてから、その友人と一緒に近くの京都王将で食事をしていたとき、ある衝撃的な新聞記事を目にしてしまったのだった。「ヘンリー・マンシーニ死去」*1。その前年の、オードリィ・ヘプバーン死去のニュースより遥かに動揺したのを、今でも克明に憶えている。もちろん、ヘンリー・マンシーニのファンを自認してはいた。ただ正直言って、あくまで作曲家として、彼の才能を尊敬しているのだと思っていた。ジョルジュ・サンドが、ショパンの才能に恋したのに似ている、というわけである。少なくとも、自分ではそう思っていた。だが、現実は違った。それまでどんなに近しい人が亡くなっても味わうことのなかった「想い」を、そのとき初めて知ったような気がする。

一人の男が死ぬ時 彼の最初の雪も死ぬ
最初の口づけも 最初の喧嘩も
何もかも人はたずさえていく
人は消える
そのひそかな世界はもどせない 
だから、消えるたびにぼくはまた 
返せないから泣きさけびたくなる
(エフゲニー・エフトゥシェンコ「人々」より抜粋)

*1:わたしに、一生消えない影響を与えた作曲家は5人いる。フランシス・レイエンニオ・モリコーネニーノ・ロータミシェル・ルグラン、そしてヘンリー・マンシーニである。ちなみに、わたしはこれまで「音楽家」を「作曲家」のほぼ同義語として使っていたのだが、ようやく両者には明確な違いがあることに気付いた。よって遅まきながら、これからは「作曲家」と名乗らせていただきます。正確には、「アマチュア作曲家」ね。「アマチャン作曲家」でもいいけどな。