人間の子供

skb_mate022004-12-16

わたしが初めて読んだ三島由紀夫作品は、『命売ります』だった。たしか中学生のときだったと思う。三島にしては珍しく、主人公がスパイになったり、女性のヴァンパイアと恋に落ちたりといったハチャメチャな物語なのだが(なにせ主人公が死を決意する動機が、「マホガニー色にてらてら光るゴキブリの背中を見ていたらなんとなく」なんである。のちに、ゴキブリとは主人公にとって、ただの日常を生きる人間の象徴であったという描写が出てくるのだが)、中坊のオツムにはピッタリだった。わたしは大いにそれを気に入り、氏の作品をいろいろと読みあさるきっかけとなった。『俗物図鑑』と出会って筒井康隆作品を愛好するようになったのも、ほぼ同時期である(映画『時をかける少女』の原作が氏の作品であったことは、その後で知った。だがなんといっても、七瀬シリーズとの出会いがいちばん衝撃的だった)。と書いていて、「で、何?」という突っ込みを自分で入れてしまったので、以下ゆうべ観た映画の感想でも書き綴ってみます。

『サイボーグ』(1989年 / アメリカ)
おそらく『ターミネーターエピゴーネンのひとつと思われる、典型的なディストピアもの。アトランタへ着いてからの話は、もっと膨らませるべきだったんじゃないかなぁ。ジャン・クロード・ヴァン・ダムって、ステレオタイプな「外国人」像とかけ離れていると思う。クールに振る舞っているというよりは、冗談が通じない堅物っぽいというか。くだらないアメリカン・ジョーク(オヤジギャグ)でも飛ばそうものなら、回し蹴り食らいそう。

ダンス・オブ・ダスト』(1998年 / イラン)*1
あっという間に終わる、小津作品みたいだった。吹き替えや字幕は一切なし。忘れかけた頃に、ふともう一度観てみたくなるタイプの映画。主人公がどことなくボニー・ピンクに似ているせいか、ずっと女の子だと思い込んでいたのだが、映画の紹介ページを見たら男の子だとわかってびっくり。劇中に雪印の粉ミルクの缶や日本語の新聞が出てきたりして、日本と中東の浅からぬ関係を垣間見たような気が。

画像はキャラメルBOXの新作。