光と影の伝説

skb_mate022005-09-22

今さら言及するのもアレなんだけど、「ぱにぽにだっしゅ!」のタイトルバックがカッコいい。わたしはモロにモーリス・バインダーだなぁと思ったのだが。あるいは、ブルーノート・レーベルのアートワークを手掛け、印象的なタイポグラフィを駆使して、その黄金時代を支えたリード・マイルスであったり。モーリス・バインダーとは、007シリーズのタイトルバック・デザイナーである。他にもシャレード、いつも二人で、バーバレラ、太陽がいっぱい、悪いことしましョ、魚の出てきた日といった作品を手掛けており、その影響下にあるデザイナーは数知れない。要は、「古畑任三郎」のタイトルバックですな。そういえばこないだミニハンド氏と話していて、「三谷幸喜の手掛けたやつって、「やっぱり猫が好き」と「王様のレストラン」ぐらいしかみたことがない」って言ったら、「古畑任三郎」はみてなかった?と訊かれ、ああ、あれもそうだったかと。わたしは、そういうレベルのヌルい人です。OPのリミックス盤をLOVE TKOがやってたとか、そういうのはすぐに思い出せるんだけど。さて、「ぱにぽにだっしゅ!」監督の新房昭之といえば、影の使い方がうまい人という印象なのだが、ぱにぽにに関して言えば、思いっきり白が飛んでいる。そこでまず驚いた。新房カラーがもっとも強く出た作品として、まず挙がるのは「ソウルテイカー」なんじゃなかろうか。あの色遣い、構図、陰影やフィルター等のエフェクト、どれを取ってもマトモではない。かといって、奇抜、というのとも違う。どこで止めても絵面的にカッコよすぎる*1。まるでヒッチコックの「めまい」のタイトルバックを延々と観せられているかのような作品であり、あんなものが、よく(アニメという特殊なフィールドではあるにせよ)商業作品として通用するものだなぁと感心することしきりである*2。それを踏まえたうえで、ストーリーやシチュエーションをも魅せることに成功したのが、去年の5月に売り出されたOVAコゼットの肖像」という作品。発売前、ネットにて無料公開された折りに観たのだけれども、わたしにとっては理想的な作品だった。基本的に、おにゃのこいっぱい出てくるし、とにかく美術が素晴らしい。いまやトップ2、アクエリオン電車男のOP、かみちゅ!とひっぱりだこのokamaが、はじめて映像作品に絡んだのもこれだったんじゃないかな。わたしが思うに、「ソウルテイカー」は、伝統的な日本のアニメ記号を適宣挿入していくことにより、視聴者との距離を縮めていたのではないかと。だが、逆にそれをしんどく感じる視聴者もたしかにいるわけで、極力それに頼らないで作られている「コゼットの肖像」は、そういう意味でも理想的だったと思うのである。局地的に熱狂的な支持者をもつジャン・バルジャンの養女、コゼットをモチーフにした辺りも心憎い(図らずも、真紅と造形が被ったような気もするけどね)。というわけで、みなさんぜひ「コゼットの肖像」を観てください。レンタルビデオ屋には置いてませんが。特別天然記念物が、大戦中の飛行機を廃物利用のエコロジーな工作で作るぐらいには、メッセージ性のある記事になったかな?てな感じで、あまり真に受けないでくださいね(んな人はいないと思うが)。


追記 こないだ、たまたま流れていたヤマハ音楽教室のCMをみたのですが、それでようやく「Hello!ぷっぷる」を聴くことができました*3。やっぱり素晴らしい曲。ずっと流れ続けてるのかと思ってヤマハの広告ページを調べてみると、「ヤマハ音楽教室2005年春」とある*4。ってことは、今年に入って復活させたってことなのかな。いずれにせよ、岡崎律子ファンにとっては嬉しいことこの上ないですね。

*1:いまやっている「ブラックジャック」をみていないので、アニメーション仕事を知らないだけになんとも言えないんだけど、手塚眞のビジュアルイメージに近いかな。彼の場合、橋本一子の音楽という強力な援護があるのも大きい。邦画に関しては、北野武ジブリ久石譲の関係が(現在進行形では)いちばん有名だけれど、それと同じくらいに語られていいはずのコンビ。

*2:いまやっている再放送が初見なので、のちのちどうなるのかはわからないが。だ・か・らぁ、衛星放送みれねーんだってばよ。ぶっちゃけ、なのは、月詠、ヤマモトヨーコ、そしてここでも何度か言及したOVA版「でたとこプリンセス」以外の新房作品は観ていない。

*3:http://www.ne.jp/asahi/okazaki/book/today/today84.html

*4:http://www.yamaha.co.jp/about/corporate/cm/ リンク先にて、CMの動画を視聴できます。15秒編しか置いていないのが残念!