ある冬の日の午後

skb_mate022007-02-08

ずっと遠い目をしていたあの人は、地球を3周して帰ってきてやっと、ずっとここに立っていたわたしに気付く。なんだそこにいたの、だって。ポケットからサハラの砂をばらばらとこぼしながら、イヌイットにわけてもらった干し肉を齧りながら。夜更けまで旅の話を聞かせてくれたのだけれど、喉が乾くだろうとたっぷり用意したお茶を、あの人は3杯しか飲まなかった。それからベッドにもぐりこみ、これから3年は目覚めないつもりだ、と言った。