綿あめと海の泡と雪

年刊SF傑作選〈第2〉 (1967年) (創元推理文庫)

年刊SF傑作選〈第2〉 (1967年) (創元推理文庫)

1. CLANNAD 第11話「放課後の狂想曲」を視聴中、「これ『たんぽぽ娘』やん!読んだことある?」というメンバーの勢いに気圧されつつ、ふるふると首を横に。少なくとも記憶にはない・・・と思う。すかさず本棚を漁り、ジュディス・メリル編の『年刊SF傑作選2』を差し出して「ほら、これ。読んでみ」というので、この厚みならサクッといけそうだなとさっそく読んでみました。

踊り狂うような夢にバラバラにされる断片的な眠りだった。 「おとといはウサギを見て、きのうは鹿、きょうはあなたに会ったわ」 彼女はそういっていた。(ロバート・F・ヤングたんぽぽ娘」井上一夫訳より)

おお、まさに。しかし、よくもまぁすぐに出てくるもんだなと感心しつつ、これなんていうギャルゲ?と突っ込みたくなる表現が溢れていることにほくそえんだり。これ、涼元悠一の趣味じゃなかろうか。ブラッドベリスタージョンが大好きだと書いてあったような。

丘の上の少女はマークに、エドナ・セント・ヴィンセント・ミレーを思い起こさせた。おそらく、たんぽぽ色の髪を風に踊らせて、午後の日差しのなかに立っていた立ち方からかもしれない。あるいはまた、長いすんなりした脚にまつわる旧式な白い服のせいかもしれない。(ロバート・F・ヤングたんぽぽ娘」井上一夫訳より)

冒頭部分ですでにこれ。もうずっとこの調子ですわ。しかし『たんぽぽ娘 海外ロマンチックSF傑作選2 集英社文庫コバルトシリーズ』なる、1980年当時のコバルト少女へ向けたSF入門アンソロにも収録されていたという事実に納得。出がファンタジーやホラーだけに、自分が読み始めた以前のSFから引っ張られても、すぐに反応できないことを再認識。ミステリも似たようなものかもしれない。せっかくなので、メンバーの本棚も切り崩していこうかと。「わたしのおすすめを読まないから」って怒られたし(笑い)。


2. 「2008-01-03 クイーン・ソロモンの秘術」の記事について。文章が「アディかわいいよアディ」だけってのもなんなので、「悩殺ネグリジェを身にまとい、いつきのベッドに潜り込んだ穂波。だが健康優良児の彼女は、ふとんの暖かさに負け、つい眠り込んでしまう。そこへ夜這いにきたアディ。横たわっているのが穂波だとはつゆ知らず、頬を上気させながらその唇に、ついで耳朶や首筋にまでくちづける。言い知れぬ心地良さに目を覚ます穂波。眼鏡をかけていない所為で、相手をてっきりいつきだと思い込み、情熱的にその愛撫へ応えはじめる。さすがにこれはおかしいと気付いたアディ、なんとか穂波を自分から引きはがそうとするものの、いまだ寝惚けている彼女はしがみついて離れない。しかしアディは、妾腹の姉であり、メイザース家のメイド長を務めるダフネから、令嬢のたしなみとして夜伽のイロハを仕込まれているため、女性の扱いは手馴れたもの。鳴かぬなら、鳴かせてしまえなんとやらとばかりに、穂波を攻略にかかるのであった(以下18禁へ突入のため省略)。一方、猫屋敷の部屋では、猫たちの呪力によって動きを封じられたいつきが、いつになく淫靡な眼をした猫屋敷に組み敷かれていた。ダメですよこんなこと、という必死の抗議にも耳を貸さず、いつきをじわじわと攻め立てる猫屋敷。彼は襲い受けだったのである。わたしは先代から、社長のお世話をするよう言いつかっているのです。あのオートマタも、もともとは先代専用のセクサロイドとして練成されたもの。衝撃の事実を耳にしたいつきが、シャツの襟をかたく噛みしめながら、でもこんなところ、誰かに見られたら・・・と呟いた刹那、扉が勢いよく開け放たれる。あーっ、ふたりで何してるの!わたしも混ぜて!などととんちんかんな声を上げるみかん。いつきの顔面は蒼白に。しかし猫屋敷は慌てず騒がず、いつきの眼帯を素早く剥ぎ取る。社長命令だ!みかん、180度方向転換、そのまま前へ進め!驚きの表情を顔にはりつけたまま、カクカクした動きで部屋を後にするみかん。そして部屋に響く、鬼畜攻めと化したいつきの声(以下18禁へ突入のため省略)」みたいなSSを書いてどこかに投下しようと思うんですけど、どうでしょう。あ、いりませんか、そうですか。