水の中のつぼみ


さいきん絵画分が足りないので、リサ・ユスカヴェージの百合的な意匠の作品を。その過剰なまでの甘ったるさや、いかにもな女性向きっぽい装飾について、ポルノグラフィとして消費されるかもしれない可能性を踏まえ、あらかじめ混入された毒なのではないかという解釈があったりしておもしろいですね。タカハシマコが、少女ものを描くときのスタンスに近いのかもしれないなと思います。そういえば、中村明日美子の「2週間のアバンチュール」もそういう意味で震えるぐらい良かったです。あと、また「少女イデア;tumblr.」を更新しておきましたので、作業用のBGMにでもご活用ください。

Lisa Yuskavage: Small Paintings 1993-2004

Lisa Yuskavage: Small Paintings 1993-2004


注目の映画 水の中のつぼみ

むせるような初恋、はじめて知る痛み。15歳のマリーはシンクロナイズド・スイミングの大会で、フロリアーヌに恋をした。美人で高慢、男性関係が盛んだと噂され、女友達のいなかったフロリアーヌ。マリーは彼女に近づくため、同じスイミング・スクールへ行き、彼女の願いは何でも聞くからと見学の許可をもらう。男子と戯れる姿は見たくないが、近くには居たい……。そんなある日、フロリアーヌが人には言えない秘密の願いを切り出した。優雅に笑顔を見せながら、足は必死で水を掻く――シンクロさながらの夏を越え、少女たちは一気に女になる。2007年フランス映画界最大の話題作、「水の中のつぼみ」を弱冠27歳で監督したのは、期待の新人女性監督セリーヌ・シアマ。自身の実体験をもとにした繊細かつ大胆なこのデビュー作がカンヌ映画祭で絶賛され、今年のセザール賞授賞式では大女優ジャンヌ・モローから女優歴60周年の功績を称え贈られた名誉賞のトロフィーを委ねられて話題を呼んだ。

3月に開催された「東京・大阪フランス映画祭2008」で上映されたうえ、「百合姫」本誌でも紹介されていたとの事実を遅まきながらキャッチ。どうやらわたしの百合アンテナは錆びついているうえに根元からポッキリいってるんじゃないかと思わされましたです、はい。とりあえず予告編を視聴してみたところ、危うくキュン死するところでした。デイリー・テレグラフ紙の「これは新しい『ヴァージン・スーサイズ』」なる評にもこの胸のときめきが抑えられないかんじですが、こちらは監督自身の実体験をもとにしたというまぎれもない「少女に恋した少女の物語」なわけでして、「少女崇拝、及び百合至上主義」を謳うこのブログ的にはもう、急所を狙った一撃といいますか、クリティカルヒットな作品と呼んで差し支えないでしょう。願わくばこの映画が『アメリ』級にヒットして、国内からも多数のエピゴーネンを輩出してほしいところです。ただ、いくつかの作品評を見てまわったところ、百合的には決して明るい結末ではないっぽいところだけが気がかりなのですが・・・とにかく、梅田ガーデンシネマにて初夏の公開を心待ちにしたいと思います。