百合物件紹介サイトであまり見かけない邦画をふたつ。
原作・少年ドラマ版ではショタショタだった設定を、女子高生ふたりに置き換えて映画化したもの。『神星記ヴァグランツ』とか『
この世の果てで恋を唄う少女』とか『
ノエイン もうひとりの君へ』とか、多元
宇宙論を下敷きにした、
タイムリープものとは似て非なる次元放浪ものの金字塔。SF者には基本中の基本ですね。キャスト的には
新山千春と
佐藤康恵、物事の本質というものをわかっているとしか言いようがないです。監督を務めた
小中和哉のお気に入りだったのか、
佐藤康恵は
ウルトラマンシリーズにもちらほら出演していたようですが、それは置いといて。
小中和哉といえば、やはり
新井素子の小説を映画化した『あなたにここにいてほしい』(
ピンクフロイドを連想した人、あってます。あれが元ネタ)がまず思い浮かぶんですけれども、これがまた「なんという百合」ってな出来だったわけですよ。しかるに、そこで百合的な物語のもつ甘美さみたいなものの味をしめたのかもしれないなとか思うわけです。周りが「あれ良かったよ〜、またああいう感じにしようよ」とかなんとか言っただけかもしれないけど。
恩田陸がこの『
なぞの転校生』をはじめとする
少年ドラマシリーズから多大な影響を受けつつ、少女と少女の魂の交感をメインテーマにして『
六番目の小夜子』を書いたことは有名な話ですが、この映画の影響も少しはあったかもしれないですね。
そのものズバリ女教師と女生徒の
カップルが1作目に出てくるので、そのイメージに引っ張られがちな
エコエコアザラク劇場版ですが、百合的な物語という意味では、この3作目の方が遥かに意図的じゃないかと。なにしろミッション系女子校の演劇部の合宿がおもな舞台になっておるわけでして、年頃のお嬢さんのみで画面が埋め尽くされているのですよ。これはもうあれですな、おそらくアルジェントと同じ病理を有する人が企画したんでしょう。血みどろ具合もそう形容するにふさわしく、
鮮血の美学がそこここで噴出しております。
クトゥルー神話や
ホムンクルス精製といった
錬金術など、これでもかと言わんばかりのオカルティズムを彩る百合の花、これをお耽美と呼ばずしてなんとする。ガチすぎる部長とそのハーレムもさることながら、ミサとその友人になった娘や、
潔癖症の女の子と彼女の世話を焼く親友の関係など、さながら萌えの絨毯爆撃といったところ。