あの日君を待つ 空と同じで
- アーティスト: marble,micco,菊池達也
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: CD
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2. 『とある科学の超電磁砲』のみこくろSSを書いたんですけど、いろいろあって晒すことができず、けっきょくここへ載せることに。友情以上百合未満という感じですので、苦手な方は回避してください。いちおう畳んでおきます。
いつものように美琴を押し倒したところ、いつになく冷ややかな口調で
「いいわよ黒子、あんたの好きにして。さ、どうぞ」
と切り返され、素に戻ってしまった黒子。
「で、では…」
おずおずと抱き付いて美琴の胸に頬擦りしてみるものの、それ以上のことができずにいる。
「どうしたの? 私がいいって言ってるのよ。はやくいつもみたいな欲望をぶつけてみなさい」
黒子はしばらく動かずにいたが、ほどなく肩を震わせ始めた。
「何をどうすればいいのか、わからないんですの…それぐらい、お姉さまだってご存じのはずですのに…どうしてそんな意地悪を言うんですの?」
すっかり涙声である。
しばらく美琴は無表情のまま虚空を見つめていたが、やがて黒子を引き寄せ、おでこにおでこをくっつけて言った。
「黒子…何を焦ってるの? 私はちゃんとここにいるよ?」
「おね…えさま」
黒子が目尻に涙を溜めたまま、にっこりと微笑んで
「お姉さまは、やっぱりすごい。たった一言で、黒子を笑顔にしてしまうんですもの」
とささやくように言うと、美琴はその言葉に顔をほころばせ、
「うん、いい顔になった。それでこそ私の黒子よ」
とこれ以上ないくらい優しい声で言い、離したおでこにそっと口付けた。
「すぐに泣きやんだご褒美」
だがさすがにこっ恥ずかしかったらしく、自分から黒子を引き離すと、ぷいと顔をそむけて
「こんなこと、初めてしたんだからね!ありがたく受け取りなさい!」
と照れ隠しに言い捨てた。一瞬キョトンとしたのち、みるみる感極まりながら、ありがとうございます…とつぶやく黒子。
美琴はもうゆでダコ状態、頭から湯気を立ち昇らせんばかりの勢いである。
そんな美琴の横顔に、「お姉さま…今夜…今夜だけ、お姉さまのベッドで一緒に寝てもいいですか…」と、
はにかみつつ問いかける黒子。
美琴は顔をそむけたまま、「いいわよ、別に、それぐらい」と応えた。
美琴の腕にすがりつき、「嬉しいですの! お姉さま、ずっと、ずっと黒子のことを忘れないでくださいましね!」
と訴える黒子の表情は、明るい中にもどこか淋しげな翳をはらんでいたのだが、あさっての方向を向いた美琴の目には映らず、彼女がそれに気付くことはないのであった。