百合子、ダスヴィダーニヤ

百合子、ダスヴィダーニヤ―湯浅芳子の青春

百合子、ダスヴィダーニヤ―湯浅芳子の青春

1. リーダーの7回忌にあたるこの日、こんなニュースを知ることになるとは・・・。

浜野佐知監督の新作『百合子、ダスヴィダーニヤ』を実現させるために、皆さまに資金協力をお願いしております。『百合子、ダスヴィダーニヤ』は、1990年に書かれた沢部ひとみさんの著書で、ロシア文学湯浅芳子と作家宮本百合子の二人の濃密な青春時代が描かれたノンフィクションです。晩年の湯浅芳子に寄り添うように取材した沢部ひとみさんの手により、それまで宮本百合子により「一方的」に書かれていた二人の関係が、二人の往復書簡、また湯浅芳子の証言により、鮮やかに蘇りました。大正時代、湯浅芳子は女を愛する女であることを隠さずに生きました。一方、宮本百合子は、湯浅芳子との共同生活の中、作家として充実した時間を送りますが、後に日本共産党の書記長となる宮本顕治と結婚し、湯浅芳子のことを作中で酷評し、二人の関係を全否定していきます。湯浅芳子は、沢部ひとみさんが描くまで、宮本百合子との関係について沈黙を守っていました。『百合子、ダスヴィダーニヤ』に刺激を受けた浜野監督が、湯浅芳子宮本百合子の物語りの映像化に踏み切りました。映画実現のために1000万円の資金を必要としております。
『百合子、ダスヴィダーニヤ』を支援するブログ

当ブログ内で関係ありそうな記事は、「2007-05-22 今の私にできること」「2008-01-14 理系少女」「2008-02-22 青鞜」「2009-07-20 幻の朱い実」あたり。浜野佐知監督は、2003年7月に収録されたインタビューで以下のように語っています。

尾崎翠につぐ、紅吉と、湯浅芳子の二人をやりたい。湯浅は宮本百合子と8年間、一緒に暮らした。紅吉はらいてうとそういう関係だったでしょ。あとは田村俊子を絡ませてやりたいんだよね。いつだって陽が当たるのは、平塚らいてう、女の鏡! みたいなのって、ぜんぜん面白くない。スカートを最初にはいた、日本で最初にレズビアンをカミングアウトしたロシア文学者の湯浅芳子、彼女にスポットを当てたいの。でもまぁ、お金がかかりそうなんでねぇ。
Love Piece Club - フェミドルに聞け! 映画監督・浜野佐知さん

わたしはあいにくたいしたお金を持っておりませんので、『第七官界彷徨』『こほろぎ嬢』二本セットDVDを購入することで、支援に代えさせていただきたく思います。


2. でもって、ライフワークである少女論の参考にしようと引いてきたインタビュー記事。女の子ってなにをかんがえてる?

 ―Tommy heavenlyとしてのルーツは?
「やるとなった時、すごい数のアルバムを聴いたんですけど、バンド・サウンドで、女性ヴォーカルものっていうことで、マジー・スタークレーンズ…」
 ―ものすごくダークですね(笑)
「(笑)でもねぇ、そっち系だったんですよ、ピンと来たのは。あと、ちょっと明るいですけど、カーディガンズとかヴェルーカ・ソルトとか。まぁ、でも、その辺はイメージ的な参考という感じで、メロディになるとまた別というか。選び方自体、自分に似てるかどうかっていうところがポイントだったりして、曲はあまり聴いてないかもしれない(笑)。女性の音楽の聴き方って、そんな感じだったりするじゃないですか?」
 ―そうですね。男性が理屈先行なのに対して、女性は感性優先というか。
「そうそう、だから、まぁ、普通ですよ(笑)」
 ―(笑)いやいや、クレーンズは普通挙げないですよ。
「(笑)まぁねぇ。でも、今でも(2004年4月現在)聴くとなると、その辺なんですよ」
 ―あとは何だろう…たとえば、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとか。
 「好きですねぇ。あと、ジーザス&メリー・チェインとか。しかも、だいたいファースト・アルバムがいいんですよね。やっぱり、最初のイメージで聴いてしまうので、逆に2枚目とかで作風をがらりと変えないでほしいし、だから、私はTommy februaryとTommy heavenlyを別でやってるっていう(笑)。だから、わりとベタなものが好きですね」
 ―最近のものではいかがですか?
ノー・ダウトとか好きだったりしますし…メジャーものはあえて挙げるまでもなく、みんな好きですね」
 ―かたや、Tommy heavenlyではなく、川瀬さんのルーツとなると、よく知られているところではフリッパーズ・ギターとかヴァネッサ・パラディなんかを聴かれていたんですよね。
「そうですね。フリッパーズ・ギターはバンドを始める以前、聴くものがなくて、DJをやってる友達に"これ聴いとけば大丈夫だよ"って言われて聴いてましたね(笑)。女なんて、そんな程度だと思うんですよ。"どれ聴いとけばお洒落なの?"みたいな(笑)。なんか、私の周りにはいつも音楽に詳しい人がいて、"これ、好きそう"っていうものを薦めてもらったり、あんまり好きじゃなかったけど、聴いてるうちに好きになったり…」
 ―そういう聴き方が実は本質的な気も。
「そうなんですよね。もちろん、薦められたものから自分でもセレクトはするんですけど、自分で探したことがないというか、なんか向こうから来る(笑)。で、あるから聴く、みたいな。で、変なものを持ってくる人とは付き合わない(笑)。それって、つまり感覚的に合わないっていうことだから」
 ―そういう風に薦められる音楽の中で自分なりの傾向はあります?
「そうですねぇ…自分にもできそうな音楽、想像がつくものですね。逆に言えば、自分に関係がない音楽は聴きたくないかな(笑)」

『ウーマン・イン・ロック クロニクル』Tommy heavenly(川瀬智子)インタビュー記事より

6年前のインタビューなうえ本音とアイロニーの比率を量りかねるものの、たとえば「乙女のクラシック - je t'aime ★ je t'aime」みたいな反応には、zubiならずとも"なるほど"とうなずいてしまうのではなかろうか。