星の海に魂の帆をかけた少女

skb_mate022004-06-19

そろそろキツくなってきたので、猫の話題でも。画像は、スーザン・キャスパーさんという作家の愛猫、ク・メルたんです。毛足長めのキジトラ模様にもうメロメロでつー。お腹に顔をうずめて、思いっきりスリスリしたいでつね、ブヒ☆ あ、いや、ゴホン。それはともかく。ク・メルというのは、なんとなくクトゥルー神話の旧支配者にいそうな名前ですが、違います。偉大な"猫狂"作家、コードウェイナー・スミスが創作した猫娘の名前です*1。彼女は猫耳キャラの元祖として名高く*2、抜群の人気を誇っていますが、動物からつくられた「下級民」と呼ばれるホムンクルスで、人間の奴隷という設定なのです。『家畜人ヤプー』みたいな感じですね。ゆえに、愛した・・・いや、やめときましょう。こんな説明だと、なんだかイロモノな作家のように受け取られるかもしれませんが、そんなことはないです。SF読みの方なら、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアたったひとつの冴えたやりかた』やロバート・A・ハインライン夏への扉』、レイ・ブラッドベリの短編集を想像していただきたい。優しい語り口、淡く美しい情景描写、そして読み終えたあとに残る寂しさ、微かな痛み・・・どれを取っても素晴らしいです。現在入手できるのは4冊の文庫ですが、著者のお堅い経歴(については、はてなのキーワードに書いてあります)からはまったく想像もつかない、どれも抒情的な空気をたたえた作品だと思います。もっともバラードやエリスン、ウォマックなどと比べれば、刺激には欠けるでしょうが・・・。
余談ですが、どうもわたしは「猫耳」に縁があるようで、今まで観てきた映画の中でもっとも感銘を受けたのが、黒澤潤監督の『猫耳*3という作品でした。欧州巡業後の凱旋公開時、劇場*4で買ったTシャツは宝物です。ちなみに、猫耳少女とかは一切出てこないんですが、「『猫耳』っていう映画が好きなんだよ」「chibinovaらしいね」というとんちんかんなやり取りになることが多いのは、これ如何に。
《today's tune》Lily Chou-Chou*5 / 回復する傷〜飽和

*1:ひょっとすると、ケット・シー(スコットランドや北欧の民話に出てくる、猫の姿をした妖精。ファイナル・ファンタジーでお馴染み)辺りがモデルなのかもしれませんね。

*2:あくまで、我々のような人種のあいだでの話ですが。

*3:http://www.mistral-japan.co.jp/film/f/nekomimi.html

*4:シネ・ヌーヴォ梅田

*5:そういえばCLAMPが、Ilmari×Salyuを聴きながら『ツバサ』を描いてます』って今月12日の日記で言ってたのが、妙に嬉しかったです。別にわたしが作った曲ってわけでもないのに、可笑しいですねw http://d.hatena.ne.jp/lfc/20040507#p1