六番目の小夜子
ゆうべはMEGADRIVE* @ MEGANET STUDIOへいくつもりだったのだが、起きたときには、すでに電車のない時間だった。自転車は雨にふられたせいで心斎橋に置きっぱなし、ゆえにミナミまで出る手段がなく、部屋にいた。仕方ないので『六番目の小夜子』(恩田陸)を読みはじめる。TV版とは設定やストーリーが違っていたけれども、すぐに引き込まれ、数時間で読了。かつてのNHK少年ドラマシリーズを意識して書いた小説、ということだが、まさにそれ以外のなにものでもない世界に夢中になった*1。いまでもいくつかのエピソードを、頭のなかで反芻しているところだ。ミニハンド氏が言っていた通り、津村沙世子は栗山千明たんをイメージして書かれているとしか思えなかった。反射的にTV版『六番目の小夜子』DVDがほしくなる、が、ここはグッとガマン。ほんとにお金ないからね。そういえばここ数年、『ねらわれた学園』や『なぞの転校生』が映画でリメイクされたりしているけれども、眉村卓氏の名がどこかで煽られたりしているんだろうか。それはともかく、いわゆるギャルゲー緒作は、そのほとんどがSFジュブナイルの延長線上にあるのだなぁという思いが、日に日に強くなっていく*2。雑誌『ファウスト』*3を読んでから、それはほぼ確信にかわったのだけれど。まぁいわゆるギャルゲーを目の敵にする人は、たいていが「ギャルゲー=ポルノメディアと一緒にされたくない」ゲーマーだったりするので、なんとも言えない。性的描写に拒絶反応をしめす人の気持ちも、なんとなくわかるしね。ただギャルゲーマーだからって、そこに性的描写のみを求めているわけじゃない。
「ねぇ山田君 好きな人に「好き」って言いたくなんない?」 「なるよ」 「じゃ抱きしめてもらいたいとかは?」 「ある」 「キスとかは?」 「勿論」 「セックスとかは?」 「すごくしたい」 「ねぇ山田君てスル方なの?される方なの?だってさ 男の人同志っておしりの穴に入れるんでしょ そういうのってどっちがどうってどう決めるの?痛くない?やっぱ本とかに書いてあるみたくローションとか使うの?」 「じゃ若草さんはクリトリスなめられるのと指つっこまれるのどっちが好き?」 「え?あ」 「フェラチオの後飲んじゃうの?それとも出す? 失礼だよ ゲイだからってすぐセックスの話をもち出すのは 若草さんだっていきなり聞かれるのヤでしょ?少なくともぼくはいやだ ぼくは話したくない」 「・・・ごめん」「別にいいよ ただ、もうそんなことより ぼくは あの人がいるだけでいいんだ あの人がいて ぼくがいて あの人を見つめることが出来る それだけでいいんだ」(岡崎京子『リバーズ・エッジ』)
追記 続けて『MOTHER』(久美沙織)読了。地底湖のシーンが、なんともファイナルファンタジー10の泉のシーンと被ってせつない。デフォの文体が脳天気なだけに、ふとした翳のある表現がよけいにグッとくる。ひさしぶりに向田邦子さんや江國香織さんのエッセイ、横森理香さんのノベライズものが読みたくなった。いまはとりあえず、安野モヨコさんの『美人画報』を読んでます。