笑顔ひとつで

skb_mate022007-03-01

1. 『沙羅は和子の名を呼ぶ』をうちに忘れて出掛けてしまったため、代わりに去年の暮れ売り出しになった涼元悠一の『ナハトイェーガー』を買って読む。で、いまちょうど半分を越えたあたり。あとがきを引きつつ簡単に内容を説明すると、「白金色の髪をして、黒いドレスをまとった夜を統べる闇狩りの姫がなぜか地味めな普通の女子高生であるヒロインとかかわり合うことになる時間もの。着想当初の元ネタは『長くつ下のピッピ』と新田真子の『THE RIDDLE』で(新田真子って『学校へ行こう』しか読んだことないなぁ)、そこにドイツ語の詩や日本の古典、精密時計に車にお菓子にメイドに弓道、そして仕上げは、何はなくともやっぱり百合。」といった具合でして、なんつーか長年連れ添った奥さんがつくってくれる味噌汁の味みたいなものとでも申しましょうか。これで吸血鬼まで出てきたら、わたしいったいどうしましょうってかんじで。『AIR』でしか氏のテキストに触れたことがなかったため、読み始めこそ意外だったものでしたが(でもやっぱ体言止めを多用していたり、センテンスが短かめだったりというあたりは同じなんですけど)、いまは続きを読むのがかなり楽しみです。去年の『カーリー』級自分内ヒットが望めそうな有望株ですね。


2. いまちょうど『Fate/stay night』の桜のキャラソンを聴いているのですが、やったらと渋いAOR路線の楽曲に吹いた。歌謡曲っぽさとロイクさとジャジーなムードと若干のロックフレーバーが絶妙のバランスで同居していて、なかなかの佳曲だと思います。ドラマティックで、駆け上がりフレーズから白玉へ、が印象的な弦のオブリとか、なんか80年代の鷺巣詩郎を思い出してしまいますね(反射的に連想したのが本田美奈子の「Aperitif」の弦アレンジだった)。ベースがまたいいノートを押さえていて、ヴォイシングにグッと緊張感をもたせてます。エロいシンセリードも光ってますよ。半音落ちをBメロに持ってきてるのも好み(サビが抜けるあたりにもあるんですけどね)。なんかレシピを説明する栗原はるみみたいになってますが。でもこういうのを若い子が聴いたら、きっと「火サスのエンディングみたい」とか「はぐれ刑事のエンディングみたい」とか言うんじゃなかろうか。別に悪いとは言わないけれども、それじゃまるでわたしがオッサンみたいじゃないですか。って、オッサンか。はは。