ロマンティックな友情

skb_mate022007-06-26

梅雨は頭痛持ちにとってつらい時季。そんなこととは無関係に、おととい書いた記事に関連する覚え書き。

アメリカの女流劇作家リリアン・ヘルマンが1974年に出版した回顧録『ペンチメント』の映画化。この反骨の劇作家を支えた人物は、作家ダシール・ハメットで、1961年に死去するまで30年間の恋愛が続いた。リリアンの精神形成の上で絶大なる影響を与えた幼なじみのジュリア。その美しい友情と献身を暖かくかつドラマティックに回想してゆく。ハメットとの愛の世界も折り込まれた素晴らしい女性映画。
映画の宝石箱★美しき菫色の刻に愛を込めて - ジュリア

さすがはchouchou姐さんといいますか、なんか興味をおぼえたキーワードでググると2割弱ぐらいの確率で、姐さんの書いたものに行き当たるのが可笑しいです。まったく、足を向けて寝られません。上記はジンネマンの『ジュリア』を紹介する記事なんですが、やはりチョイスがシブいですなぁ。ていうか、わたしはどうもリリアン・ヘルマンリリアン・フェダマンをごっちゃにして憶えていたもよう。

19世紀末から今日までの、約100年間のアメリカ合衆国レズビアンの歴史を描いた大著です。(中略)フェダマンによれば、19世紀から(あるいはそれ以前から)「女同士の友情」という形で女性間の愛情の交流が存在したということになっています。エマ・ゴルドマン(アメリカのアナーキストフェミニスト)などの著名な女性も、同性の非常に親しい友人を持っていて、そのこと自体はこれまでの伝記や研究で指摘されていましたが、その二人の間に、今日なら「レズビアン関係」と呼ばれるような関係が存在していて時には明らかに身体的な性愛の関係も結ばれていたということが述べられています。
Myriel Bookguide: レスビアンの歴史(リリアン・フェダマン)

こちらがリリアン・フェダマン『レスビアンの歴史』の書評です。この書で彼女が論ずる「ロマンティックな友情」は、日本のエス関係を理解するうえできわめて重要な足掛かりになるもののようで、児童文学者で『初潮という切札』『「赤毛のアン」の挑戦』などを著しておられる横川寿美子さんも吉屋信子花物語』の考察に、その概念を援用しておられます。

フェダマンによると、一九世紀のアメリカでは「ロマンティックな友情」と呼ばれる女同士の親密な関係が広く見受けられ、後のレズビアニズムのように異端視されることなく社会に容認されていたという。(リリアン・フェダマン『レスビアンの歴史』原著1991年、富岡明美・原美奈子訳、筑摩書房、1996年)。また「ロマンティックな友情」は必ずしも肉体関係を含むものではなく、たとえば渡辺和子は母娘関係や姉妹関係にもこの語を用いている(渡辺和子「ロマンティック・フレンドシップとオルコットのアダムレス・エデン」『女性学年報』第17号、1996年)。
吉屋信子「花物語」の変容過程をさぐる −少女たちの共同体をめぐって−

自分の考える「百合」とは、すなわちこの「ロマンティックな友情」に他ならない、ということなんですが・・・いかん、遅刻するッ!!