波の上の月

光の海 (フラワーコミックス)

光の海 (フラワーコミックス)

立ち寄った本屋にて、ペンネームとタイトルが気になり、買ってみた一冊。帯の惹き句には「海や川に人魚が住む、わくわくするような日常。そこに生きる人間たちの、ごまかしのない姿を、しなやかな感性と細やかな視点で描き出した珠玉のオムニバス」とあります。第1話で表題作でもある「光の海」は、「2007-07-07 死の停止」にて奴股が話題にした「小林秀雄中原中也と、泰子なる女の関係」を地でいくような、「サーフィン好きなふたりの僧侶と、女性の人魚」の三角関係を描いたもの。この時点で「このひといいわぁ」と思い始めていたのだけれど、続く第2話「波の上の月」がこれ、快楽天作家のなかからフェイヴァリットを選ぶとしたら、三浦靖冬かこの人という夏蜜柑の「ガールフレンド」(『透明な鳥』所収)を思い起こさずにいられない、親友への秘めた恋心ものの百合じゃありませんか!もうひさしぶりにまんが読んで鳥肌がたちました。こんなのがデビュー作ってすごいな!で、さっそくググってみると、ご本人のサイトがありまして、日記を読んで2度びっくり。勝田文岩本ナオと交換しあったイラストが掲載されていたり(どちらもコミックス欠かさず買ってるんだって!)、「2007-06-12 girl of the year」でも名前を挙げた野中モモが、「流行通信」でこの『光の海』を紹介したことから、彼女が店長を務めるLilmagで創作同人誌を扱ってもらうことになったことなどが書かれていたり。繋がるもんだなあとしみじみしつつ、なんかもう鳥肌通り越して寒気がし始めたり。今後も当ブログは、小玉ユキさんを陰ながら応援させていただきます。できればまた、百合ものを描いてください!