硝子鏡の夢

skb_mate022007-07-26

1. 『プラムガール』(トレイシー・ポーター)読了後、『幼なごころ』(ヴァレリーラルボー)を読む。最大のお目当ては、『フランス短篇傑作選』にも収録されているという「ローズ・ルルダン」。何の楽しみもない田舎の寄宿制女学校に通うローズ・ルルダンは、叱られるためにわざと禁じられていることばかりしていた。彼女は不良っぽい上級生のローザ・ケスレルに憧れているのだ。皆の人気者であるプロシャっ子のローザは、名字で呼び合う習慣の中にあって、唯一レーシェンという渾名で呼ばれていた。日に日につのってゆく慕情が愛情であると気付いたローズは、レーシェンが同級生の女の子と仲良くする姿を見て嫉妬し、ますます恋慕をつよくするが、遠くから見ていることしかできないのだった。ある日、思いきってそれとなく話しかけるも、レーシェンは「ヘンな子!」とそっけない。だがローズは、天にも昇る心地を味わう。そしてクリスマス休暇の少し前、レーシェンと同郷のシューピース先生(女性)が生徒によからぬことを教えたかどでクビになる。そして休暇が明けても、レーシェンは学校にあらわれなかった、という話。戦前のドイツ映画、『制服の処女』もこんなかんじでしたね。きっちり押さえておきたいところです。以前「2007-03-03 3am phonecall」にも画像を1枚貼りましたが(左上から2番目)、『制服の処女』は58年にリメイクされており、先生に恋する少女役をロミー・シュナイダーが演じております。『幼なごころ』読了後は『砂漠の歌姫』(村山早紀)を読み読み。『はるかな空の東』の姉妹編にあたるらしい。物語はもう思いっきりラピュタってかんじで、かなりワクワクしながら読めます。おもしろい。挿絵の森友典子はじっさいラピュタで原画を描いてた人だそうですし。どこかの書評に「主要人物が女性ばかりで不自然」と書かれていた通り、パズーにあたるキャラが楽士になるための勉強をしている強気な女の子になっており、シータにあたるキャラがじつは王女さまな銀髪で儚げな美少女になっていてホクホクです。『砂漠の歌姫』読了後は、新装版が続々と出版される岩波少年文庫週間。少年文庫だけに少女キャラメインのものはそんなに多くなく、がんばればなんとか集められそうです。手始めに『森は生きている』(サムイル・マルシャーク)を。わがままで命令することしか知らなかった女王が、ままむすめに「おねがい」するシーンが萌えます。大貫妙子が「メトロポリタン美術館」をつくるきっかけとなった『クローディアの秘密』(E・L・カニグズバーグ)。荻原規子もおすすめの『時の旅人』(アリソン・アトリー)。16世紀末へタイムリープした少女ペネロピーは、果たしてメアリー女王を救うことができるのか(史実ではイングランドエリザベス1世に処刑された)?もうわたしのツボを直撃です。しかしながら岩波少年文庫でもっとも重要なのは、ほかならぬ『思い出のマーニー』(ジョーン・ロビンソン)。女の子同士の篤い友情と別離、交差する過去と現在、幻想と現実、すれ違いの運命、イギリスの田園風景と古い屋敷・・・思い入れが強すぎるせいかうまく要約できないんで、あらすじを書いてくれているサイトさんを捜していて、こんなところをみつけました。

アンナはあることから、養父母はアンナを育てるためにお金をもらっていることを発見した。アンナはそのことをなんとか養母に自分から話してもらおうとチャンスをつくろうとしたが、彼女は話さなかった。「…だけど、あたし、あたしは、ミセス・プレストン自身に話してもらいたかったの、とっても。あんなにいっぱい、チャンスを作ってあげたのに」。アンナは涙を落とす。マーニーはそれをきいてアンナの髪をなで、「アンナ、あたしのアンナ、あたしはあなたを愛しているわ、あたしは今まであったどの女の子よりも、あなたが好き」といい、涙をふいてくれた。アンナはにっこりして、心にのっかっていた重いものが取り去られたように感じる。そして後には、マーニーがばあやたちにひどくつめたい仕打ちにあっていることをうちあけて、アンナに「あたし、あなただったらよかった」といい、アンナは「今までに知ってる、どの女の子よりも、あなたが好き」といってマーニーの髪をなでかけ、途中で2人がまるでいれかわっているみたいなのにびっくりしたりしている。
Lastdate. 「ホットロード」のための4章 第3章

こちらには『思い出のマーニー』のあらすじがちょうどいいサイズで掲載されています。で、このかたによると、『ホットロード』(紡木たく)は「1904年の「秘密の花園」以降繰り返し描かれてきた古典的なファンタジーとほぼ同じあらすじを共有している」そうで、「吉屋信子がいなかったら、ナナの隣にハチはいなかったんですよ」と語る嶽本野ばらを思い出したり*1。他にも日本昔話の「手のない娘」が挙げられているのですが、梨木香歩の『裏庭』だったか『西の魔女が死んだ』だったかの中に出てくるんですよ。梨木香歩はイギリスで児童文学を学んだ人なので、彼の地を発祥とするファンタジー譚との相似は疑うべくもないんだろうなと。当時は『湘爆』(の津山さんと民さん、そして初代のマコさん)が大好きで、『ホットロード』はちらっと読んだだけだったんですけど、これを機会にちゃんと読んでみようかな。ちなみに『今日から俺は!!』だと、リコと京子ちゃんよりもボーイフレンズ・デッドのメンバーはよく知っているアレなカップリングにいっちゃうんでカッコ以下略。


2. 新番組の感想メモ。

ななついろ☆ドロップス 第1話「運命はなにいろ?」
これなんていうカードキャプターさk・・・いや、よいわ。好きです、こういうの。いまとなっては魔法少女ものならなんでも無条件に、というわけでもなくなってきたけれど、ここまで正攻法でこられると抵抗できません。なんといっても音楽が素晴らしく、美術仕事との相乗効果もバッチリで、言いしれない甘々でロマンチックな雰囲気が醸し出されていると思います。ていうか音楽、山川恵津子かよ!そりゃ80年代にアイドルポップを聴きながら魔法少女ものに目を輝かせていたような人種ならイチコロだわさ。

ぽてまよ 第2回「愛しのあの子」「日曜日」
ヴェンダースでいちばん好きな作品はと問われれば、もちろん『都会のアリス』と即答するわけですよ。カラになったサクマ式ドロップスの缶には水を入れて飲むんですよ。ちっちゃな女の子の面倒をみる男の子〜おっさんに弱いんですよ(でも『sola』の髭ダンディや『ハチクロ』の花本先生はちょっと違うんだよなぁ)。バンチで連載してる『マイガール』(佐原ミズ)とか、去年ハマりまくった『ちょこッとSister』とか。だもんで、「日曜日」にていよいよぽてまよの保護者ぶりを発揮しだした素直きゅんにときめきまくり。いやー、素直きゅん萌えるわ。同じ理由で、ハヤテにも萌え萌えです。「まったく、どこまでかわいい生き物なんだお前は」(by 三千院ナギ

*1:前述した『幼なごころ』が文庫で出ていることを知ったのは、リンク先でコメントされている『「文藝ガーリッシュ」という造語で、近代少女文学の再評価を試みている俳人で文筆家の千野帽子氏』のブログで紹介されていたからなんです。繋がるなぁ。