ぼくはあなたに与える 苦しみも悲しみも後悔も快楽も、全て


1. げんしけん2 第5話「マダラメ総ウケ」を視聴。オギーの妄想、いわゆる笹原「ネクタイの正しい使い方を教えてあげますよ」斑目「・・・!」のために丸々1話使うという制作陣の暴走振りに吹いた。しかも妄想パートには、かつて『同級生2』などのエロゲアニメで鳴らしたりんしん(『肉体転移』の姉妹話とかかなり好きっす)を、キャラデザと作画監督として本編とは別に起用する念の入れよう。これがテレビシリーズは初監督となるらしいよしもときんじのコネクションなんでしょうけど、なんで相棒であるうるし原智志*1へは振らなかったんだろう。それはさておき、アーバンでグラマラスでラグジュアリーなムードといい、大仰な台詞回しや演出といい、すべてにおいてやおいっていうかBLの王道をしっかりと押さえた手堅いつくり。正座した斑目の頭にシャンパンをかける逆三体型で鬼畜な久我ピーとか、大野さんはカモフラージュで、本当に愛しているのはお前だけだから別れないでくれと迫る田中とか、プライドを失った斑目に愛想を尽かして咲ちゃんのもとへ去っていく高坂とか、でもやっぱり最後は笹原のところへ戻ってくると(笑い)。めくるめく斑目の総受けぶりがエロエロしい良エピソードでした。あ、そうそう、これまで「0.05」というサイトで斑目受けを楽しんでたんですよ。本編で同じレベルを再現されちゃったけど(笑い)。いちおご紹介しておきます。

こちらは笹斑が基本ながら、原グーロの鬼畜攻めや公式カプの笹荻なんかも押しってことで最高すぎです。ふつうに18禁コンテンツもありなんで、やおいを受け付けない方が踏むと、目から血が出るかもしれません。ご注意くださいねん。しかし、ゆうべバンドメンバーのサッチに「性的なもの以外興味ないよ」つってドン引きされたというのに、わたしも懲りないなぁ。オノ・ナツメの『クマとインテリ』とか見せたら、「イヤーッ」だって。別にいいんですけどね(笑い)。


2. やおいつながりで、このあいだお手伝いした『なんでもない日のお茶会・ハロウィン スペシャルライブ』のことを少し。じつはわたくし、シモーヌ深雪さんの歌ってSSEのコンピに入っていた由紀さおりのカバーしか聴いたことがなかったんです。けど、モダンなアレンジで歌われるシャンソンの数々はかなりツボでした。朗々と歌われるとちょっと引いちゃうんだけれど、倍音が多すぎないっていうのか、いいかんじに線が細めで。中でも「僕は美しかった」って曲がかなりキました。たしか神学生同士の愛と別れ、みたいな内容の歌だったと思います。神学校的にはヘッセの『車輪の下』を連想するんだけど、むしろ『デミアン』の方がテーマには近いかと。あれって、善と悪や聖と邪の境界線って曖昧だよなっていう東洋的な考えが根底にありましたよね。そこで連想したのが、『デビルマン』もまぁそういうテーマはあったんだけど、やおい的により萌えるって点で手塚治虫の『MW』なんですわ。以前マスタードさんに、「手塚が好きならこれは押さえとかんと」っておすすめした記憶があるんですけど、読んでいただけたのでしょうか。

梨園に生まれたエリート銀行マン・結城美知夫の素顔は、狂気の連続凶悪犯罪者だった・・・。犯行を次々に重ねては、その後に教会を訪れ、旧知の賀来(がらい)神父のもとで懺悔をする結城。しかし二人は、同性愛者として、肉体関係を結んでいたのである。かつて結城は、少年時代に南国の沖ノ真船島(おきのまふねじま)を訪れ、この地にたまたま来ていた不良少年グループにかどわかされた経験をもつ。その際、同島に駐留する某外国軍の秘密化学兵器『MW(ムウ)』が漏れた。島民が相次いで変死する地獄絵を目の当たりにしたトラウマと、自らも毒ガスを吸ったショックとから、結城は心身を蝕まれる。そして、不良グループの一員だった賀来の手で、凄惨な場面から逃げおおせたのもつかの間、避難先で賀来に強引に犯される結城少年。主従関係は変わっても、二人の奇妙な関係はその後も続いていたのだった。一方、沖ノ真船島の犠牲者たちは外国軍および彼らと結託した政治家らの手によって跡形もなく処分され、島の秘密を知っているのは結城と賀来だけとなってしまう。自分の心身の健康を奪われた結城は、当事者への復讐として、数々の誘拐事件と猟奇殺人を繰り返した末に、MWを奪い、全世界を自分の最期の道連れにしようとたくらむに至る。それを阻止し、結城を救済すべく動き回る賀来神父の苦悩と、救済と改悛を拒否しながら加速度的に愉快犯を重ねていく結城の姿が描き出された、一大ピカレスク・ロマンである。
Wikipedia - MW (漫画)

これ、連載開始が『風と木の詩』と同じ76年ですよ。風木も『トーマの心臓』も諸説あるものの、いうたら「少年愛」の延長線上にあることを考えると、いかに『MW』がいま現在のやおい萌えに近い雰囲気を先取りしていたかということがおわかりいただけるかと思います。いわゆる「ロリ」や「おにゃのこ萌え」が手塚に端を発していることに異論のある方はおられないと思いますが、やおいもまた先取りしていたことには驚かされます。わたしがこれまでにもっとも読み返した漫画は『アドルフに告ぐ』なんですけど、あれもそういった妄想を禁じ得ない作品でしたし。で、シモーヌさんなんですが、歌い終わってから紫音とのやおいトークコーナーってのが設けられていてですね。まるでついていけない紫音を置き去りに、おもしろいお話をたくさん聞かせていただきました。中でも「まんだらけ梅田店の2階へ行ったら、ダンボール箱3つぶんは買ってしまう」というダメ告白が可笑しかったです。ていうか、「入ることを禁じられていた屋根裏部屋に踏み入ってしまった少年が、義父だったか叔父だったかが隠していた男性同士のあぶな絵を見つけてしまい、エロくお仕置きされる」って短篇が誰のなんという作品だったか思い出せずやきもきしていまして、「ご存知ないですか?」って訊いてみたかったんだけど・・・まぁいいや、えへ。

*1:ゼロの使い魔』で名前を見かけて驚いて以来、けっこうな数に参加してますね。テレビアニメ仕事へ完全に復帰したのかな。