理系少女

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

戦中の広島、浦野すずは軍都、呉へと嫁ぐ……。新しい街、新しい人、新しい人生。築き築かれ、壊し壊され、それでも重なっていくいとおしき日々……。『夕凪の街 桜の国』で戦争の悲しみをまったく新しい形で現代に提示したこうの史代が描く新境地!(版元による紹介文)

太平洋戦争の銃後を舞台にした『長い道』。しなやかでかわいくてたくましい女性たちの生き様に見惚れます。すごく『ARIA』に通じる空気を感じますので、そちらがお好きなかたも、ぜひ。


町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)

天狗の娘・秋姫のヘンテコ青春ファンタジー。緑峰山(りょくほうざん)の天狗の娘・秋姫(あきひめ)は、下界で母親と暮らしながら中学校に通っている。お山で修行にはげむ幼なじみの瞬(しゅん)ちゃんから、天狗になるための修行をするようにいわれるが、断り続ける毎日だ。そんな秋姫の心の中は同級生の“タケル”君のことでいっぱいなのだが…。(版元による紹介文)

ミドリちゃんの「大丈夫だよ。あたしと姫ちゃんなら、そのへんでいきなり会っても仲良くなれるよ」ってくだり、身をよじるほど萌えます。でも、ミドリちゃんの好きな子がタケルくんだったらかなり萎えるなぁ。瞬って線は・・・なさそうだし。あと、眷属になる修行をしている動物どもがめがっさかわいい。


そして新境地を開拓しようと、理系女子本をいくつか。


数学史のなかの女性たち (りぶらりあ選書)

数学史のなかの女性たち (りぶらりあ選書)

数学の発展・展開に大いなる遺産をのこした8人の華麗な女性たち。その業績と影響、時代と社会をたどり、女性として、数学者として、ヒューマニストとして生きた創造的知性の営為のドラマを描き出す。(版元の紹介文より)

なかでもフランス革命の時代、フェルマーの最終定理を一般的に証明しようとしたソフィー・ジェルマンの生涯などは、「ソフィーの冒険 - 哲学的な何か、あと科学とか」にて紹介されているごとく、じつにドラマティックでありつつモエモエな逸話がてんこもりだったりします。その手のかたたちには必読の内容と言えましょう。


ソーニャ・コヴァレフスカヤ―自伝と追想 (岩波文庫)

ソーニャ・コヴァレフスカヤ―自伝と追想 (岩波文庫)

ソフィア・ヴァシーリェヴナ・コワレフスカヤはロシアの数学者。愛称はソーニャ、コワレフスカヤはコヴァレフスカヤとも訳される。ロシアでは初めて、ヨーロッパを含めても三番目に大学教授の地位を得た女性である。コワレフスカヤは、フョードル・ドストエフスキーと知り合って彼に淡い恋心を抱き、注意を引くためにドストエフスキーが好きなベートーベンのピアノ・ソナタ「悲愴」の練習までしたが、ドストエフスキーは姉のアンナにしか関心をもたなかったという。ノーベル賞に数学賞がないのは、コワレフスカヤに振られたノーベルが、彼女と親しいミッタク=レフラー(ノーベル数学賞があったら受賞していたかもしれない)に嫉妬したためではないかという俗説がある。晩年には幼少期の思い出をつづった自伝的小説を執筆しており(ミッタク=レフラーの妹で友人の文学者アン・シャロット・レフラーが執筆協力)、ロシアやスウェーデンをはじめとして世界各国で極めて高い評価を受けている。日本では野上彌生子による翻訳がある(『ソーニャ・コヴァレフスカヤ―自伝と追想岩波文庫)。他に小説と戯曲が一篇ずつ残されている。
ソフィア・コワレフスカヤ - Wikipedia

ソーニャ・コワレフスカヤの自伝的小説。これはもう基本中の基本ですね。ここでもたびたび言及している、湯浅芳子宮本百合子と交流の深かった野上弥生子が訳者であることも見逃せません。

ソーニャ自身の手による前半部は実に瑞々しいです! そしてマジ面白い。盗癖のある召使のゴシップや、妻の尻に敷かれていた伯父さんや奔放な姉など身近な人の話題なんかに終始してます。いい意味で「偉大な数学者」ぽい雰囲気はあまり感じさせません。(略)それにしても、野上弥生子のソーニャへの萌えっぷりは相当なもんだ。野上センセイもさては「理系萌え」だったのか? それとも彼女が女性の自立の象徴みたいに思えたからかしらん?? さきほどの序の文の続きをここに書いときますね。『前述の通り、これらは半世紀をずっとさかのぼるほどの話である。しかし私のソーニャ・コヴァレフスカヤに対する関心、傾倒はいまにおいても、むしろ今日のほうが強まっているといえる』……どうだ〜!! 半世紀だ〜!!!
怒りの書店員rainyの怒涛の読書ダイアリー - 数学少女日露対決!「算法少女」VS「ソーニャ・コヴァレフスカヤ」

そしてソーニャに萌える野上センセイに、我々が萌えるわけですな!


男女差別のあった、学問をすることもままならなかった時代に、科学とともに生き、歴史に名を残した女性たちがいます。『エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエ』は、そんなふたりの「才女」をとりあげたものです。『物理学教程』を執筆し、ニュートンの『プリンキピア』を翻訳したエミリーと、化学革命を支えたマリー。彼女たちが、いかにして幾多の困難を乗り越えていったのか、そしてどのような人生を送ったのか、著者は史料をもとに解き明かしていきます。18世紀のフランスが舞台であり、時代も国も異なりますが、彼女たちがおかれていた状況は、現代を生きるわれわれにも通じるものがあります。
東大マガジンクラブ - 《女性と科学》

ソフィー・ジェルマンと同じく18世紀フランスを生きた女性科学者、エミリー・デュ・シャトレとマリー・ラヴワジエについて。マリー・キュリーぐらいしか知らないわたしたちにとっては、文字通り目から鱗が落ちる内容ですね。