青鞜

skb_mate022008-02-22

1. 鎌倉時代中期に成立したとされる古典『我身にたどる姫君』がアツい。わたしがこれに注目しているのにはわけがあります。そう、そこには日本最古の百合描写が含まれているというのです。全8巻というボリューム、そしてその希少性から読んでみる努力は放棄しておったのですが、内容をレビューしてくれているサイトさんがありました。
久住女中本舗 - 『我身にたどる姫君』作者不明
うーん、ほぼ地雷であると解釈してよいのでしょうか・・・? しかし日本の百合史をひもとくうえで、避けては通れない作品のような気もしますし・・・誰か百合描写のある部分だけ、桃尻語訳で出してくれたりは・・・しませんよね。そんな虫のいい話あるかって、自分でも思った。


2. 『我身にたどる姫君』の存在を知ったのは、西在家香織派ホームページさんのおかげでした。えっと、ハンサム団ホームページにバナーが貼ってあった同人ゲーム、「希望入りパン菓子」のシナリオを担当された中里一さんのサイトですね。で、ひさしぶりに日記を覗かせていただいたところ、じつに驚くべきニュースが。

私の新作『どろぼうの名人』(名義:中里十)が、第2回小学館ライトノベル大賞ガガガ部門の最終選考に残りました。この賞は、第1回の最終選考作品はすべて刊行されているので、『どろぼうの名人』は商業誌でお届けできると思います。主人公は佐藤初雪、ヒロインは川井愛のフルスイング百合です。乞うご期待。
中里一日記 - 2008年01月18日 新作のお知らせ

ワオ! フルスイング百合って表現が新しくも激アツなんですけど! 商業誌で読めるとあっては、もうこってりと期待せざるをえないですな。『エロティックス・F』のブログによると、志村貴子の『青い花』第3巻もようやく3月21日には書店にならぶことが決定だそうで、めでたいことこのうえなし。


3. 古典ではないけれど、丁寧に拾っていきたいのはやはり「青鞜」とか「女人芸術」とか。長谷川時雨も、まださわりしか押さえてないし・・・。

根底に男性への恐れと嫌悪があり、そこに女性の自立という主題がからんだ「青鞜」的同性愛に対して、近代日本社会は比較的寛容だった。その後、高等女学校という制度によって大衆的に育まれたその空気は、やがてショービジネスとしてのタカラヅカに開花した。平塚らいてう田村俊子中条百合子、みなのちに男性と恋愛して結婚したが、湯浅芳子は一九九〇年、九十三歳の死まで「女性ひとすじ」をつらぬいた。その口の悪さ、威丈高な態度も終生かわらなかった。
筑摩書房 PR誌ちくま 2007年3月号 「超わがまま」な女の「イノセンス」 関川夏央

平塚らいてうと尾竹紅吉や、与謝野晶子の後援を受け、コレットの翻訳なども手掛けた詩人の深尾須磨子と、声楽家の荻野綾子も一時期同性愛的関係にあったそうです。とは言っても、それもおそらくヴァージニア・ウルフがそうであったように、フェミニズムの原型たるレズビアニズム、すなわち「女性の自立という主題がからんだ『青鞜』的同性愛」であったのでしょうけれど。はっきりとレズビアンであることを公言した著名人は、おそらく湯浅芳子吉屋信子だけではないかと思われます。