人魚と提琴

アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈物』を読み中。中学生の頃、ヒルティやヘッセの『幸福論』などとともに母の本棚から拝借した一冊なのですが、当時はもうひとつピンとこなかったんですな。当時は著者名がリンドバーグ夫人であり、『翼よ!あれが巴里の灯だ』で知られる夫のチャールズ・リンドバーグの妻であることが、えらい人たちにとってはことさら重要だったのだろうと推察されます。ジュニアの誘拐殺人事件、その過熱報道も関係ないとは言えないでしょう。我々の世代にとっての、ジョンベネ事件のようなものでしょうか。さて、内容のほうは孤独の必要性とそれゆえに育まれなければならない理想の人間関係、精神的修養の重要性、そしてそれによって得られた意識は、いかにして物質文明と共存すればよいのか、というようなことがらが考察されております。思わず70年代にネイティブ・インディアンだとか禅だとかチャネリングだとかLSDだとかからさまざまなことを学ぼうとし、続々と田舎を目指したひとたちを連想しますが、むしろ現代において、ロハス的生活術を思想的にバックアップしてくれる示唆に富んだ本して読まれたほうがいいのかもしれません。似たようなことを「2005-07-05 光の方へ 〜明日へのJYUMON〜」にも書いていますので、よろしければ参照くださいませ。訳者の吉田健一も指摘するように、これがアメリカ人女性によって書かれたものであることじたいに、大きな意味があると思います。ついでに本日の買い物メモ。


人魚と提琴 玩具館綺譚 (講談社ノベルス)

人魚と提琴 玩具館綺譚 (講談社ノベルス)

家族八景 上巻 (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-1)

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家族八景 下巻 (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-2)

家族八景 下巻 (KADOKAWA CHARGE COMICS 16-2)