主題歌

138回芥川賞川上未映子が、直木賞桜庭一樹が受賞するに至り、流れは確実にこっち、ってどっちだか自分でもよくわからないのですが、とにかくまぁわたしが読んでみたいと思えるような作品が選ばれる頻度が高くなってきたのかなぁ、とかんじておるわけです。選考委員のひとりである石原慎太郎が、川上未映子の「乳と卵」を「まったく評価するに値しない」と斬って捨てたってあたりも含めて。もちろんわたし、文学賞関係にはまるでうといですし、さして興味があるわけでもないのですが、ああ、こういうものが売れるのね、となれば、さらにそういった傾向の作品がじゃんじゃん出版されるんじゃないか、という期待はできますので。そいでまぁ、137回直木賞北村薫の『玻璃の天』がノミネートされていたことを今ごろ知って「へぇ」なんて思っていたりしたのですが、芥川賞にはもっとワクテカな作品がノミネートされておったようですよと。

主題歌

主題歌

キャラクター商品をつくる仕事をしている実加と同僚のいつ子、小田ちゃんはかわいい女の子が大好きだ。職場の後輩の愛は月曜日ごとにおみやげをくれる変わった子だが三人は気に入っている。そもそも、小田ちゃんがアイドルや女優や周りの女の子などのかわいさにめざとくて、いつも話しているのを聞いて、実加はじぶんもかわいい女の子が好きなのだということに気づいたのだ。同性愛ということではなく、かわいい女の子を見たり、話したりすることがとにかくうれしいのだ。同居している洋治の許しを得て、ある土曜日、実加は女の子だけのカフェパーティを企画する。じぶんの好きな女の子たちが知り合って、楽しいときを過ごしているのを見て、実加は幸福につつまれる。そのすぐあと、小田ちゃんの結婚式があり、そこで、小田ちゃんが昔「ナンパ」したという女の子のオリジナルソングを聞き、この歌がここで歌われたことはけっして消えないのだ、と感動する。
文学賞メッタ斬り! - 第137回芥川賞・直木賞選考会 - 芥川賞候補作紹介

新刊コーナーに並んでおったので、とりあえず立ち読みしてみました。舞台が大阪なうえ、音楽ネタが多めに配合されていることもあってか、たしかに異様なまでにリアルにかんじました。ていうか、自分のまわりにもこういう子いるわ、と。ついうっかり、吉川ひなのを追っかけまわしていた柳美里を思い出したことも告白しておきましょう。純粋に百合目当てで読むのはちょっと厳しいものがありますけど、「ガチのBLももちろん美味しくいただきますが、中高生男子のじゃれ合いもこれまた捨てがたい。要するにおお振りサイコー」というような嗜好をもつかたにはうってつけじゃないかと思われます。ていうか、この作品で描かれているような女の子は、間違いなく百合ものにも抵抗がないだろうし、それこそ『Lの世界』を「なんか話題になってるし」で目にしてコロッといったりしてくれるんじゃないかなぁと思ったり思わなかったり。そして百合萌えの裾野が広がれば、こういった作品に食いつく人口も増え、従って供給量が増え、さらに権威付けされることでますます増えていくんじゃないかとほんのり期待してみているんですが、いかがなもんでしょう。