there must be an angel pt.1
『人魚と提琴』(石神茉莉)を読了。これはおもしろかった! 怪奇でお耽美で幻想的な内容かと思いきや、そこかしこに笑わせてくれるエピソードなんかも散りばめられており、すごくバランスのいい作品だったと思います。こういった作品の常として、やはりアリスもエレメントのひとつとして採用されているのですけど、ローゼンと同じく「鏡の国」ネタってあたりが小粋。もちろん百合妄想も可能ですし(ここ重要)。ただ導入部がミステリっぽいだけに「そういうお話なのね」と思い込んでしまうと、クライマックスでどんでん返しを喰らいます。乾くるみの『Jの神話』とか、ああいうかんじ。ファンタジーものが「実はすごく苦手です。小説などを読んでいても「そういうのってどうなの?」って思っちゃう方なんです」という成海璃子のようなかたはスルー推奨。そんなこんなで読了本もそこそこ溜まってきましたので、当サイト的「ここ5年ぐらいに出版されたもので、アタシを萌やし尽したニクい本」ベストテンでも挙げておこうと思います。ただし選び辛くなるので国内作家限定とし、さらにラノベと児童書は除外しました。選定の基準は、いかに作者が少女を愛しているか、その友情や愛情を大切に思っているかが伝わってくる度の高さ、とでもしておきます。なにがしかの参考になれば幸いです。ちなみにアフィリエイトはやっていませんので、わたしのふところが潤うなどということはございません(笑い)。
――女たちよ。まだ見ぬ恋人、まだ見ぬ妻たちよ。しなやかなからだと透きとおった声を持ち、したたかで心やさしい女たちよ――。われわれ心弱き男たち、きみたちの指し示す彼方、ただ憧憬をもってながめやるばかりである。われわれにとってきみたちは永遠に、ふれることのできぬ翼をもつ天使のごとき生きものなのだ。きみたちはどこへ行くのだろう。黎明の果て、異次元の彼方だろうか。――それともはるかな楽園だろうか――。
(吉田秋生「はるかな天使たちの群れ」より)
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