貴族の階段
- 作者: 武田泰淳
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/09/14
- メディア: 文庫
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226事件を背景にした華麗な貴族ドラマ! と言っても、226事件がどうのこうのというのは添え物のような感じで、やはり見どころは貴族の乙女たちの生活っぷり。百合的と言いますか、ベルバラ的と言いますか、、とにかく乙女趣味な作品でした。原作は、1951年に書かれた、武田泰淳の『貴族の階段』。本の装丁が、何ともまぁ、(似非)貴族的。(略)それから、やっぱりお家が素敵なんです(貴族だから)。もちろん、ちょっとしたロココ調です。白いマントルピースがとにかくロマンティック。まぁ、パッと見、ラブホ風なんですけど・・・。一番感動的だったのは、氷見子のベッドが真鍮のパイプベットだったこと。いや、この映画の美術係はよくわかっていると思いますよ、乙女心を。やっぱり乙女のベッドは真鍮ですよね。
放蕩娘の縞々ストッキング β : 2005年 04月 24日【映画】『貴族の階段』
み、観たい! それはさておき、あとがきによると、戦争末期に亡くなった妹・真百合の日記の発見が、氷見子というキャラクターを発想する直接の機縁となったそう。ということは、美しい容貌と優しい性格を持つ兄の義人は、ひょっとして作者自身・・・だったりするんでしょうか。ぶっちゃけ、百合的というにはあまりにもエス的すぎる内容でしたので、百合目当てで読むのは少々キツいかと思われますが、堀越さんも萌え台詞として採り上げておられる「精力のありあまった男たちにとって、蹶起(けっき)するのは、射精するのと同じことだ。気が遠くなるほど、いい気持なのだろう。だが、理想の革命を成就し、完全な新国家をつくりあげるのは、思いどおりの顔と心をもった赤ん坊を、数かぎりなく生むのと同じくらい、むずかしい(ほとんど不可能な)事業なのだ。どんな男だって、瞬間的な恍惚のあと、だらだらとつづく精虫の運命のめんどうを見てやるのは、めんどうくさいのだ」といった物言いにグッとくるかたにはかなりおすすめ。その昔、母から薦められて読んだ犬養道子の『花々と星々と』(森茉莉好きにもかなり響くはず)と『ある歴史の娘』(五・一五事件絡みはこちら)を読み返したくなりました。