夜を紡いで

夜を紡いで (集英社文庫)

夜を紡いで (集英社文庫)

幼い頃の記憶。それは双子の姉マリーナとの交信。互いに紡いだ言葉の糸を闇に乗せ、テレパシーによって何でも語り合っていた・・・! しかし、その姉はもういない。喉をかき切られ、殺されたのだ。1年半後、妹スザンナの周辺で不気味なできごとが度重なる。じわじわと忍び寄る底知れぬ恐怖。姉を殺した犯人のしわざか。同じように死を迎えなくてはならないのか。過去と現在、愛と裏切りが織り成す最高のサスペンス! (背表紙より)

1. 萩尾望都の「半神」を思わせる設定。姉の束縛を嫌って彼女を拒絶し、それも遠因となりつつ婚約者に去られたことで、心の均衡を乱したスザンナ。どこかシャーリィ・ジャクスンの『ずっとお城で暮らしてる』の姉妹が抱く狂気に近いものをもったマリーナ。百合的には、訳者が『捜査官ケイト』シリーズを手掛けていた布施由紀子ということもあり、まったく下心がなかったわけではないけれども、「おっと、そうくるか」という嬉しい不意打ちを食らわせてくれました。ネタバレになるので、詳しくは書きませんが。それにしても、双子姉妹がジョージアの田舎町で悶々としながら過ごした少女時代を、事細かに描写しているさまには心奪われますな。一緒にバレエ教室へ通っていたってのもポイント高し。『ヴァージン・スーサイズ』とか好きな人は、間違いなく射抜かれそう。しかしこの作品の素晴らしさはそこだけにとどまるわけでなく、サイコ・サスペンスとしてたいへんよくできていると思う。とにかく観察力にすぐれた作家だと思います。


2. 年内の鑑賞予定映画


おろち ホラー漫画の巨匠、楳図かずおの同名怪奇ミステリーを映画化。監督に『予言』の鶴田法男、脚本を『リング』シリーズの高橋洋が手掛け、美醜への執着が美しい姉妹を悲劇へと導くさまを描く。美ぼうが崩れていく運命をたどる姉妹に、『全然大丈夫』の木村佳乃と『グミ・チョコレート・パイン』の中越典子がふんするほか、物語の狂言回し的キャラクターであるおろちを、若手実力派の谷村美月が熱演。人間の心の闇を体現した女優陣の鬼気迫る演技は見もの。(シネマトゥデイ


ベティの小さな秘密 ジャン=リュック・ゴダールのミューズであり、小説家として活躍するアンヌ・ヴィアゼムスキーの原作を、『デルフィーヌの場合』のジャン=ピエール・アメリスが映画化。精神病院から抜け出してきた青年にほのかな恋心を抱いた少女ベティのけなげな奮闘を描く。主人公ベティを愛らしく演じるのは『ぼくを葬る』のアルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ。60年代フランスの美しい田園風景と、少女の目に映る不安定で美しい世界を表現した映像に目を見張る。(シネマトゥデイ


ブーリン家の姉妹 16世紀のイギリスの宮廷を舞台に繰り広げられる愛憎劇。どちらも国王の寵愛を受けながら、まったく異なる道を歩むことになる美しい姉妹の劇的な人生を鮮やかに映し出す。本作ではナタリー・ポートマンスカーレット・ヨハンソンという当代きっての若手女優の夢のような共演が実現。その兄役を『ラスベガスをぶっつぶせ』のジム・スタージェスが好演する。後にイギリスに黄金時代をもたらしたエリザベス1世の母の壮絶な生涯に息をのむ。(シネマトゥデイ


ブリュレ 別々に暮らしていた一卵性双生児の姉妹が再会し、失われたときを埋めようとするかのように惹かれ合うさまをつづった人間ドラマ。病に侵された妹とその姉が、逃避行を繰り返しながら迎える最期の時間のきらめきをスクリーンに刻み付ける。実際に一卵性双生児である中村梨香中村美香はオーディションで選ばれ、本作で見事映画初出演と主演を果たす。まるで二人だけしかこの世に存在しないかのように純粋に相手を見つめる姉妹のきずなに圧倒される。(シネマトゥデイ


櫻の園 -さくらのその- 女子校の演劇部を舞台にした吉田秋生原作の人気少女漫画「櫻の園」を基に、封印された戯曲「櫻の園」公演に取り組む女子高生たちの成長を描く青春映画。 1990年の最初の映画化と同じく中原俊が再びメガホンを取り、現代を背景にした新たなストーリーを紡ぎ出した。主演はテレビドラマ「ライフ」などの福田沙紀。さらに『理由』の寺島咲やモデルとして活躍する杏など、今後が楽しみな女優たちが演劇部員を熱演。ためらいながらもからを破ろうとする彼女たちの姿が、さわやかな感動を呼び起こす。(シネマトゥデイ


ティンカー・ベル 世界中で最も愛されている妖精、ティンカー・ベルの誕生に秘められたドラマを描くCGアニメーション。ピーター・パンと出会うはるか以前に、ネバーランドにある妖精の谷、ピクシー・ホローでティンカー・ベルが誕生して55年。その誰も知らなかったディズニー最大の秘密や、チャーミングで華やかな妖精たちの世界を映像化する最新の映像テクノロジーとともに語り明かす、ティンカー・ベル4部作の第1弾に期待が募る。(シネマトゥデイ


今週の「映画の中で主人公が鑑賞する映画」ベストスリー

第1位 『ミツバチのささやき』で、アナとイザベル姉妹が観る『フランケンシュタイン』。
第2位 『女と男のいる舗道』で、ナナが観る『裁かるゝジャンヌ』。
第3位 『ウーマン・ラブ・ウーマン』で、イーディスとアビーが観る『噂の二人』。