双子って、心中したもの同士の生まれ変わりって…知ってた?

世界の何処に立つべきかをまだ迷っているかのような双子の姿を見ながら、僕はそう想像する。きっとその時期、その人たちにしか撮り得なかった一篇なのだ。奇跡のようなフィルムだ、と言うほかない。 (新海誠
思春期の “言い表せない感情” “伝えきれない想い” そのリアルな部分を斬新に描いてあり、最後の10分間、涙があふれました。  (しほの涼

先日したためました「年内の鑑賞予定映画」リストの中で、これはとくに推しとかなアカンやろ、という作品がこの『ブリュレ』です。冒頭のシーン。逃亡の果てにふたりが辿りついた海辺の街。ここでもう、我々は即座にベルトラン・ブリエの『メルシー・ラ・ヴィ』を連想させられる仕掛けになっています。逃亡先が、海辺のさびれた町なのは映画というフォーマットのお約束。そして、たいていはそのキャラクターが訣別したはずの過去を象徴するように、彼女ら(彼ら)の生まれ育った場所でもある。塩田明彦が『害虫』という作品において、意識してか無意識にかはわからないものの、トリュフォー的演出を組み入れてみせたのに似ています。教会のシーンは『小さな悪の華』、あるいは『ローゼンメイデン』における水銀燈とめぐを思わせ、儀式を通してふたりの魂が分かち難いものであるということを、観客である我々にも確認させる効果があります。とまぁ、それはそれとして。前世紀の終わりごろには「もう邦画は完全に死ぬんじゃないか?」なんて言われていたのに、あいかわらず低予算映画、自主映画も撮り続けられ、公開され続けているわけでして、その中には、こうして観る前から自分の感性にハマるであろうことが容易に想像できる作品もちらほら混じってくるわけです。そうしたときに、とりあえずこうして広告の一助を担いたいなぁなんて思えたりするのも、またインディー作品の楽しみ方のひとつではあると。てなわけで、全百合スキーはもちろん、北国、放火魔、一卵性双生児、姉妹愛あたりが属性直撃っていう関東圏在住のかたは、ユーロスペース1のレイトショーへ足を運びましょう。10月25日から11月14日までだそうです。関西だと、ナナゲイあたりでかかるかかからないかってところかな。劇場公開がないようなら、DVD化を待つしかないんですけど・・・ショボンヌ。