すみれの花咲く頃

明けましておめでとうございます。2009年の初更新は、一般新聞の記事ネタをふたつほどいってみたいと思います。みなさま、今年もひとつ、よろしくおつきあいくださいませ。

兵庫県は、アニメやゲームなどのサブカルチャーを商業、観光資源として活用する構想をまとめた。熱狂的なマニアや「オタク」を「好きなことにはお金を惜しまない人たち」と評価し、県内に呼び込む。アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の舞台のモデルとされる西宮市北部や、宝塚市手塚治虫記念館、サブカルチャー関連の店舗が集まる神戸・三宮のセンタープラザ西館などが有力な資源という。(中略)街づくりでは、(1)「涼宮―」に登場する場所を「聖地巡礼」として観光コース化(2)尼崎市の工場地帯を「工場萌え」としてPR(3)神戸市長田区の鉄人28号プロジェクトをアニメオタクに売り込む―などを挙げる。

神戸新聞 2008年12月30日号 1面記事より

地方自治体がオタをターゲットにした施策を打ち出すこと自体は、いまやそんなに珍しいことでもない。ですが、とにかく驚いたのは「工場萌え」をしっかり把握して視野に入れていること。メカ好きは言わずもがな、音楽にもインダストリアルってジャンルがあるくらい、このへんの嗜好を持つ人は幅広く存在するわけだけど、お役所がそれを嗅ぎ付けて観光資源化するってのは、なかなか珍しいんじゃないかと思います。この試みがうまくいくと、たとえば軍艦島をきちんと整備して観光ルート化する・・・ついでに岡崎律子生家記念館ができちゃったり・・・なんて動きに繋がったりするかもしれない。ちょっと夢見すぎですけど。ただ、ハルヒの舞台である甲陽園って、プチ六麓荘ってかんじの閑静な高級住宅街ですから、地元住民が反発しないかどうかちょっと心配。


すみれの花咲く頃 [DVD]

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宝塚歌劇が今年で創立95周年を迎えた。女性だけのレビュー劇団として世界唯一の存在のうえ、これほど長い歴史と高い人気を誇っているのは驚異的だ。作家の田辺聖子さんは宝塚を“夢のお菓子”と表現する無類のファン。タカラジェンヌを代表する専科トップの轟悠さんと、その華やかで深い魅力を語り合ってもらった。(司会は文化部 平松澄子)

――田辺さんが宝塚歌劇を好きになったきっかけは?

田辺:叔母たちが宝塚を好きで、ちっちゃいときから連れていってもらってたんです。戦前だから子供だけでは行けなくて。花の道をワクワクして歩いてた。たまに緑の袴姿の生徒さんたちと出会えるのも、うれしかったわぁ。

轟:あの緑の袴は足首がちらっとみえるぐらいの長さで採寸されるんです。

田辺:宝塚に入る前から、いろいろお稽古されてたの?

轟:日本舞踊だけです。入ってからが大変でしたが、やっぱり好きだから、がんばれました。

田辺:音楽学校は女の子の士官学校だっていってたのよ。そういう厳しさの中で切磋琢磨している人たちを尊敬していた。戦前は女の子はお嫁に行くことばかりを教えられる。私のはるかなあこがれは、(作家の)吉屋信子さんだった。少女小説もいっぱい書いておられたの。私は宝塚には入れないから、小説家になろうと思ったの。

轟:感覚的に時代の先端をいかれていたんですね。

田辺:上手なこと、いうてくれはるわぁ。

――田辺さんの著作が宝塚で舞台化されたのは、「隼別王子の叛乱」(昭和53年)が初めてで、主演は榛名由梨さんでしたね。

田辺:「古事記」や「日本書紀」の時代が好きで、いつかロマンチックな作品を書きたいと夢見てたの。それは宝塚の影響だと思う。舞台化が決まったときは転げ回って喜んでたって、妹にいわれました。

轟:素晴らしい舞台だったと聞いています。

田辺:思ってた通りの舞台にしてもろて、小説家になってホントによかった。ショーちゃん(榛名)はきれいやったし、天皇役(神代錦)の人は出てきただけであたりをはらう威厳があった。そのとき、宝塚の芸の力に感銘したの。修練や経験を積み重ねた、大変な演劇集団やと思うわ。

――「新源氏物語」も2度(昭和56年、平成元年)舞台化されています。

田辺:それ以前の春日部(八千代)さんの源氏は語り草になってますけど、新解釈の源氏も宝塚でやると最適ね。王朝ものは男役さんがやるときれいでお品がよくて、ふくらみがあって、ぴったりやわ。

轟:私はその直前に雪組へ組替えになっていて、源氏には出ていません。残念です。

――轟さんが演じるとしたらどの役が合うでしょう。

田辺:そうねぇ、頭の中将かなぁ。

――宝塚が95年も続いて、人気を維持している最大の魅力は何でしょう。

田辺:宝塚そのものが“夢見力”を起こさせるのねぇ。きれいに、楽しく見せるその夢の中から、人生の真実を引き出してきたり、知恵を教えられたり、考えさせられたりもする。こういう特別な形はほかの世界にはない。見ているとすごく心が解放されるし、新しいものを示唆される気がする。

轟:小林(公平)校長先生は宝塚を受験する子は、目が輝いていて、心が純粋だっておっしゃってます。そこからどれだけ芸を磨き、自分を高めていくか、になりますが。

田辺:女の子やからできるんです。まじめで律儀で純粋やから。女性の体を借りて男性を表現した方が、すごく自由な世界になる。不思議やねぇ。

轟:私は男兄弟ばかりですが、男同士の友情は理解できなかった。それが舞台に立ちながらわかってきたような気がします。

田辺:男性は見ず嫌いの人が多いから、私は男性の編集者たちに宝塚を見なさいって、見せるの。宝塚のよさがわかるのは、デリケートできれいな心のある人。本当に感動する心、気持ちの震えを分かる人は男性、女性を問わないわね。

――間近になった100周年へ向けて求めることは?

田辺:このままでいい。時勢に応じて人も作品も、刻々と変わっているから、みんなに飽きられずに見られていると思います。

轟:宝塚ってこんなに魅力的なんだって、先生のお言葉で改めて気づかされたことがたくさんありました。いい舞台を、いい生徒たちが育つよう、先頭に立って引っ張っていかなければ。夢を持って楽しい仕事として取り組んでいかなければと痛感します。ありがとうございました。

産経新聞 2009年元旦号 特集記事より

ちょwww 聖子タン萌えすぎwww そして轟悠がホストすぎるwww これを読んでいて改めて感じたのは、わたしはやっぱり女の子が好きで好きでたまらん女の人に萌えるんだなぁ、ということ。女装子×女装子に萌えるあかりさんに比べればまだ一般的な属性のような気もするけれど、しかしやはりニッチであることは変わりはない。そんなわけで、今年もこのまま現状維持、GL街道まっしぐらでいきたいと思います。