乳と卵

ゆうべも秋葉原紫音のライブを手伝いに、「なんでもない日のお茶会」へ行ってきました。まるで女子校さながら、きれいに着飾った女子たちのキャッキャウフフが心ゆくまで堪能でき、行くたびに潤わせていただける素晴らしいイベント。おかげで心のたがが緩みまくり、「次回はまた人気のケーキブースが出展されますよ」というMくんの振りに、ついうっかり「わたしねぇ、女子がケーキを前にして目を輝かせている姿にすっごく萌えるんですよ」と返しちゃいまして。「へ、なんで?」「いや、ケーキの主原料って卵と乳製品じゃないですか。で、卵は雌鶏からしか産まれないし、牛乳を出すのも牝牛だけじゃないですか。これって、わりとすごい百合行為だと思うわけですよ。いわば、マタドールと牡牛の死闘に興奮する人たちと、同じような精神状態になるっつうか」「もう全然意味がわからない」みたいなやり取りがありまして。でも冷静に考えてみたら、たしかになに言ってんだかさっぱりわからないでしょうね。もはや、元素記号の組み合わせにまで萌えるレベルへ達しつつあるのかもしれない。もはや引き返せないところまできたんだなぁ、と悟った瞬間でありました。帰る気はさらさらないけど。それはさておき、「お茶会」の前に立ち寄ったまんだらけで抜いてきた物件を晒しておきましょう。



山岸凉子「白い部屋のふたり」 花とゆめコミックス版
エスでも擬似恋愛でもなく、初めて明確にレズビアニズムを主題とした少女まんがといわれている作品。全集に収録されているぶんで読んではいたものの、百合者のたしなみとして、どうしても単行本が欲しかった。古典ゆえ完成された、まるでバッハのシャコンヌのごとく奥深い描写がたまりません。さすがは24年組です。これを読めば、百合がやおいと同じく少女まんがから発生したジャンルであることが、よくわかるのではないかと思います(もちろん、少女小説ではこれ以前からありましたが)。当ブログ的百合物件リストも、基本少女まんがの中からピックアップしたものです。


こちらはアダルト向け。戸川昌子先生の小説『狩りの時刻』を、いがらしゆみこがまんが化したもの。ごくふつうのOLであった依理子が、侍従と名乗る男と出会ったことから、夢幻と現実の境界を行き来しつつ、じつは自分が元侯爵の娘であることを知る。やがて元侯爵の後妻である絵美夫人と、熱烈な恋に堕ちるのだが・・・というお話。レズビアニズムのみならず、エログロ・ナンセンスの要素がこれでもかと詰め込まれた、乱歩賞作家ならではの作品。


白い影法師 (ミミKC)

白い影法師 (ミミKC)

ガラかめ43巻出版記念に。捉え方によっては百合要素ありと言えなくもない『聖アリス帝国』と同じく、女子校を舞台としたホラーもの。体が弱く、いつもひとりぼっちだった小夜子が、転入生の千草と仲良くなってべったりになるものの、活発な千草はそんな小夜子がわずらわしくなって距離を置くようになる。捨てられることをおそれた小夜子は、同じ行動を取ろうと無理をしたせいで入院することに。しかしそのあいだに千草を取られるのではと、病院を抜け出して登校。皆戻った方がいいと忠告するも聞き入れず、とうとう発作を起こして亡くなってしまう。そして小夜子の霊は学校へとどまったまま、友だちになってくれる子を求めてさまよっている・・・という内容。


月光樹 (講談社漫画文庫)

月光樹 (講談社漫画文庫)

同じ男を愛してしまった腹違いの姉妹3人が繰り広げる家族ドラマ。そこそこの精度がある百合フィルターを透過すれば、男性キャラの背景化は容易いと思います。「向田邦子新春スペシャル」あたりが萌えるかたにおすすめ。