千年の魔法


01. 公開から一ヶ月もたたないうちに上映終了するとのことでしたので、パークスシネマへ『マイマイ新子と千年の魔法』を観にいってきました。『魔女の宅急便』『アリーテ姫』、そしてテレビシリーズ『BLACK LAGOON』を経て、片渕須直がついに作り上げてしまった映画史上に残る少女映画の大傑作。少女であること、以外のなにものをも存在させないその技術たるや、もう筆舌に尽くしがたいほどのすさまじさ。観ているあいだじゅう、鳥肌はたつわ涙は出るわで大変でしたよもう。孤独と無力感のなかから自分の足で立ち上がろうとする姫の姿を描いた『アリーテ姫』から約10年(すすめてくれたミニハンドさんに感謝)、さらに子供の領分と、友だちを欲する気持ち…ひらたく言えばガール・ミーツ・ガールを追求した先に生まれたこの作品が、興行的にまるでふるっていないらしいのは、大変残念な気がします。

つい最近試写をご覧になった皆さんから、たてつづけに「百合アニメ」という評をいただいてしまいました。実は、こちらとしてそれほど意外に思わないところがあってしまいます。表紙の上にかかる帯に「日本版赤毛のアン」とうたわれた本を原作にとった我々が目指したのは、まず「ガーリー」であることでしたので。我々としては「昭和30年もの」というジャンルにすっぽりはまって、ただその時代の懐かしさを追求するだけで終わりたくなかったのです。
カントク片渕のメイキング・オブ・マイマイ新子 - 2009年9月16日

いわゆる百合っぽい要素を取り入れる作品はここ数年でびっくりするほど増えましたが、少女たちが交流によってお互いにかけがえのない絆を育てていくことそのものをテーマにした作品は、そう多くはありません。それだけに、こういう企画にゴーサインが出てくれて、その結果として素晴らしい内容をもたらしてくれたことに、とにかく感謝したい気持ちでいっぱいです。



02. 『夏のあらし!春夏冬中〜』のエンドカードに、ウメスが登場。問題は、そのモチーフが、無印の方條ゆとり以来となるカヤ×潤であること!! 百合目線であれば、それっぽい描写がより多い加奈子×やよゐでくると思うんです。しかし、カヤさん(ひいては女性性そのもの)を受容するにいたる潤の心情を鮮やかに描き出した演出にやられた身としては、加奈やよよりカヤ潤萌えなんですよね。ウメスが百合的な意味でカヤ潤にしたのかどうかはわかりませんけど、少なくともこのふたりの関係性にグッときたからこそ選んだことは確かなのであって。自分が『ひだまりスケッチ』になぜグッとくるのか、客観的な根拠を提示されたような気がしたのでした。