ロリヰタセクスアリス

ミシン2/カサコ (小学館文庫)

ミシン2/カサコ (小学館文庫)

1. 作家の宮木あや子嶽本野ばらの大ファンであることを『ミシン2』の解説で知って以来、ずっとどこかで見たことのある名前なんだが・・・と引っかかっていたのだけれど、ようやく「ひょっとして『週末ロリィタの掟』を書いていた宮木亜矢子と同一人物なんじゃないか?」と思い至りまして。

女の子同士の友情というのは、なんだかんだで非常にゆるい結びつきのものです。ちょっと年を経て彼氏ができちゃったら、どうしても彼氏を優先してしまい、あっという間に疎遠になってしまいます。少女時代に大半の女の子が経験するであろう同年代の女の子へのほのかな思いは、友情ではなく、愛情に近いものです。思春期の女の子の、女の子への思いを書いた秀作はたくさんありますが、その中でもわたくしが繰り返し読んだものは、松村栄子という芥川賞作家の、「僕はかぐや姫」という作品です。セーラー服、女子高、文藝部。本当は文藝部ではなく演劇部が望ましいのですが、この作品にはSの派生する全ての条件がそろっています。是非ご一読くださいませ。(略)わたくしは個人的に、女同士の友情というものにあまり期待を抱いていませんので、「友情ってそういうものじゃないと思うの!」という、優等生のような反論は受け付けません。ロリィタファッションをするうえで、一番大切なのは「いかに可愛いか」ということです。可愛いもの(ロリィタ)が可愛いもの(ロリィタ)を集める(お友達関係を結ぶ)のは当然のことであり、それは友情ではなく愛情です。
週末ロリィタの掟 by 宮木亜矢子 - 第12回 ロリィタとお友達

なるほど、この美意識が『雨の塔』に結実したわけですね。『僕はかぐや姫』ってたしか共通一次かなんかのテキストにもなった、百合厨のあいだでは伝説的な作品。古書相場がお高めなので、図書館で借りて読むことをおすすめします。そうかぁ、宮木あや子ロリィタちゃん上がりだったのか。なんかいろいろ繋がった気分ですっきりしました。そうそう、高殿円の『カミングアウト!』という小説に、職場でお局となりつつロリィタ趣味を隠し続ける29歳のOLってキャラが出てきますが・・・ロリィタファッションって精神的には武装ですよね。コスプレする軍オタに近いものがあるというか。でもせっかく女性に生まれたんだし、湯川れい子言うところの「女装する女」でもやってみっか、つまりは限界ぎりぎりまで女の子女の子してやるぜみたいな。いわゆる少女趣味と呼ばれる諸々がある程度まとまったのは1900年前後だと思うんですが、それらはおとなの「女の子にはこういうものが適している」あるいは「こういうものを好むのではないか」という思惑を多分に反映したものだったわけで、半分以上はノスタルジーであったり少女性に対する幻想でできている。そういったものへの反発を覚える少女も少なくないだろうし、中には反発しつつもあえてそれらを身にまとう子もいるだろうし。いずれにしても相当の覚悟と気合が必要ですよね。うーん、うまくまとまらないな。できれば「2006-06-06 白樺派と星菫派の間で、小さな雌鹿よ、あなたは罠にかかった」とあわせて読んでいただけると幸いです。



2. 前述の「女の子は綺麗で可愛いものに憧れます。そして自分を綺麗で可愛くあらしめようと努力します」を踏まえたうえで、いまどきのセレブな中学生を『セックス・アンド・ザ・シティ』あるいは『ゴシップ・ガール』ふうに描いた映画。つまりは『ミーン・ガールズ』ジュニアですか。しかしそれらとの最大の違いは、舞台がお嬢様学校で、男子とのロマンスよりも女子同士の友情に力点が置かれているところかな。学園の女王マシーが、ダサくて目障りなクレアに対して抱く「大嫌いだけど大好き」がですね、もう自己嫌悪と自己愛のせめぎあいとごっちゃになってて、そりゃもう萌えること請け合いですわ。たとえばキャンディとイライザ、キャンディがたくましい雑草魂を誇るのに対し、イライザってただのブラコンなヘタレじゃないですか。こういうふとしたことで力関係が入れ替わったりしちゃう女子同士の関係を、カップリング要素のひとつとして萌えられるか否かで、百合脳とやおい脳の違いが浮き彫りになっておもしろいですよね。百合はたいていリバが基本ですから。

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